こんにちは、GORIです。
オリーブ盆栽を手に取ると、枝や幹に銀色の針金が巻いてあることがあります。「これ、外していいの?」「何のためにあるの?」とお店でもよく聞かれます。
今日は、香川県の生産者・創樹から届いたネバディロブランコの盆栽を例に、オリーブ盆栽の針金かけのお話をします。針金は、盆栽が「まだ形をつくっている途中」であることのしるし。意味がわかると、オリーブ盆栽を育てる楽しみがぐっと広がります。
盆栽の見どころと冬越しは「オリーブ盆栽 ネバディロブランコとは?」に、品種による葉の違いと剪定は「オリーブ『ルッカ』とは?」に書きました。あわせてどうぞ。

盆栽の「針金かけ」とは?
針金かけとは、枝や幹に針金を巻いたり、針金で引っ張ったりして曲げ、その形を木に覚えさせる盆栽の技術です。枝は曲げたままにしておくと、成長しながらその形で固まっていきます。形が決まったら針金は外します。
使われる針金は主に2種類です。
- アルミ線:やわらかく曲げやすい。かけ直しもしやすく、オリーブのような雑木(松以外の樹木)の盆栽でよく使われます。
- 銅線:固くて保持力が強い。松などの枝が硬い木で使われることが多い線です。
「巻く」と「引き下げる」― 2つのかけ方
針金のかけ方には大きく2つあります。
- 巻きつける:枝に針金をらせん状に巻き、枝ごと曲げる方法。巻く角度はおよそ45度が目安とされます。針金の太さは、枝の太さの3分の1くらいが目安です。
- 引き下げる:枝には直接巻かず、幹の根元や鉢から針金を張って枝先を引っ張り、角度を変える方法。太くて巻きにくい枝や、枝全体をゆるやかに下げたいときに使います。
今回の株を正面から見ると、幹の根元から斜め上へ1本の針金が張られ、横へ伸びた太い枝を引っ張っているのがわかります。これが「引き下げ」。枝を下へ引くことで、幹から横へ大きく弧を描く、この株ならではの枝の線をつくっています。根元に巻かれた針金は、株を鉢にしっかり固定する役目も担っています。

なぜオリーブは針金で形をつくりやすい?
オリーブは枝の伸びが早く、若い枝はしなやかです。とくに今回のネバディロブランコは、スペイン生まれの樹勢の強い品種で、枝が上へ横へとよく伸びます。伸びた枝を針金で好きな方向へ導き、余分な枝を剪定する。この繰り返しで、少しずつ盆栽らしい姿ができていきます。
ふるさとの地中海沿岸では、オリーブ畑の木が乾いた風の中で枝を横へ大きく広げています。盆栽の枝を横へ引き下げるのは、そんな風景の中のオリーブの姿を、小さな鉢の中に写す作業でもあります。
一方で、成長が早いということは、針金が食い込むのも早いということ。ここがオリーブの針金かけでいちばん気をつけたいところです。
オリーブ盆栽の針金、いつ外す?外し方は?
- 食い込む前に外す:幹や枝が太ると、針金が樹皮に食い込んで跡が残ります。成長期の春〜夏は、ときどき針金のまわりを見て、樹皮が盛り上がってきていないか確かめてください。
- 形がまだ戻るなら、かけ直す:外してみて枝が元の位置へ戻ってしまうなら、まだ形を覚えていない証拠。少し位置をずらして、もう一度かけます。
- ほどかずに、切って外す:巻いた針金を逆回しでほどくと、枝をねじったり芽を傷めたりしがちです。ペンチ(盆栽用の針金切りがあれば理想)で、短く切りながら外します。
- 新しくかけるなら成長期に:枝が動きやすい春から初夏が一般的です。休眠中の冬は枝が硬く、無理に曲げると折れやすくなります。
引き下げの針金は、巻きつける針金より食い込みにくい方法です。枝の弧が十分に固まったら、引き下げの針金は外して大丈夫。迷ったら、まずはそのまま育てて、春の成長期に様子を見るのがおすすめです。

香川・創樹のオリーブ盆栽
この株を仕立てたのは、香川県高松市国分寺町のオリーブ専門の生産者・創樹です。もとは松の盆栽園から始まり、1997年から観賞用のオリーブづくりに取り組んできました。針金かけや根上がりの仕立てには、松盆栽で培われた技術が生きています。苔をまとって四方へ張り出した根元も、この株の見どころです。
弧を描く盆栽の飾り方
- 枝が張り出す側に空間を:枝の先が鉢の外まで伸びる株は、棚の端や窓辺など、張り出す側が開けた場所に置くと線がきれいに見えます。
- 正面は自分で決めていい:鉢を少しずつ回して、枝の弧と幹の表情がいちばん気持ちよく見える向きを探してください。盆栽ではその向きを「正面」と呼びます。
- ときどき向きを変える:日が当たる側にばかり枝が伸びるのを防げます。
オリーブ盆栽の育て方のポイント
| 置き場所 | 風通しの特によい、日に当たる室内か、屋外 |
|---|---|
| 水やり | 土の表面が乾いたらしっかりと。鉢植えなので数日間の完全な水切れは避ける。鉢底に水を溜めない |
| 針金 | 食い込みを春〜夏にこまめに確認。外すときは切って外す |
| 剪定 | 春(3月頃)が適期。枝の弧を残すように先端を切り戻す |
| 苦手なもの | 日照不足、蒸れ、空気のこもる場所 |
よくある質問(FAQ)
Q. 買ったオリーブ盆栽に針金がついていました。すぐ外したほうがいいですか?
A. すぐに外す必要はありません。針金は形を保つためのものなので、食い込んでいなければそのままで大丈夫です。成長期の春〜夏に、樹皮に食い込んでいないかをときどき確認してください。
Q. 針金が食い込んでしまいました。どうすればいいですか?
A. 見つけたら早めに、ペンチで短く切りながら外してください。軽い跡なら、年月とともに目立たなくなっていきます。
Q. 初心者でも針金かけはできますか?
A. できます。やわらかいアルミ線を使い、まずは細い枝から試すのがおすすめです。太い枝を一度に大きく曲げると折れることがあるので、少しずつ、何回かに分けて曲げてください。
Q. 針金をかけた直後に気をつけることは?
A. 曲げた枝は負担がかかっています。かけた直後は、強い直射日光や水切れを避けて、木を休ませてあげてください。
Q. 針金なしでも形はつくれますか?
A. つくれます。伸ばしたい方向の芽を残して剪定する「切り込み」だけでも、時間をかければ樹形は整います。針金は、その時間を短くして、狙った線をつくるための道具です。
GORI STORE TOKYOのオリーブ盆栽 ネバディロブランコ(創樹)
今回GORI STORE TOKYOに入荷したのは、創樹が仕立てたネバディロブランコの盆栽です。一本の幹から太い枝がぐっと横へ弧を描き、その先でふわっと葉が広がる。高さ約50cm・幅約36cm、黒いプラスチック鉢・受け皿付き。耐寒性の目安は0℃以上です。

私はこの株の、枝の線に惚れました。針金がかかっているのは、まだ形をつくっている途中の証拠。完成品を飾るだけでなく、この先の樹の時間も一緒に楽しめる一鉢です。
→ 商品ページ:創樹 オリーブ盆栽 ネバディロブランコ(弧を描く枝・一点物)
→ オリーブの木・オリーブ盆栽一覧
※在庫1点限りの一点物です。売り切れの際はご容赦ください。
針金をほどいた先に、どんな樹の姿が待っているか。小さな鉢の中の地中海の風景を、育てながら楽しんでください。
GORI