こんにちは、GORIです。
お店でオリーブ盆栽をご覧になったお客様から、いちばんよく聞かれる質問があります。「オリーブって地中海の木ですよね。どうして香川なんですか?」
今日は、香川・創樹(そうじゅ)から届いたオリーブ「ルッカ」の小品盆栽を例に、日本のオリーブがなぜ香川・小豆島から始まったのか、そして瀬戸内の気候が地中海とどこが似ていて、どこが違うのかをお話しします。育て方のヒントは、じつはこの「違い」の中にあります。
この記事の要点
- 日本のオリーブ栽培は、1908年(明治41年)に国が三重・香川・鹿児島の3県で始めた試験栽培がきっかけ。根づいたのは香川の小豆島だけだった
- 瀬戸内は雨が少なく、日照が長く、冬も温暖。地中海と同じ「乾いた光の土地」
- ただし日本には梅雨と蒸し暑い夏がある。この違いが「風通し」と「乾かし気味の水やり」という育て方の基本につながる
- 香川のオリーブは100年を超えて、今では盆栽仕立てという日本らしい楽しみ方にも広がっている
- 今日の一鉢は、くの字に曲がる幹と切り株の跡が見どころの、高さ約23cmのルッカ

日本のオリーブは、なぜ小豆島から始まった?
日本でオリーブが本格的に育てられるようになったのは、1908年(明治41年)のことです。当時の農商務省が、アメリカから輸入した苗木を、三重・香川・鹿児島の3県に分けて試験的に植えました。目的は、魚の油漬けなどに使うオリーブオイルを国内でまかなうこと。
結果は、三重と鹿児島ではうまく育たず、香川の小豆島に植えた木だけが根づいて実をつけました。ここから小豆島は「日本のオリーブ発祥の地」と呼ばれるようになり、2008年には植栽100年を迎えています。香川県の県花と県木もオリーブです。
なぜ小豆島だけが成功したのか。その答えが、瀬戸内の気候にあります。
瀬戸内は、どこが地中海に似ている?
オリーブのふるさと、地中海沿岸の気候を一言でいうと「夏は乾いて、冬に雨が降る」。夏は雨がほとんど降らず、強い日差しが続きます。オリーブは、この乾いた光の中で何千年も生きてきた木です。
瀬戸内は、北を中国山地、南を四国山地にはさまれた土地。季節風が山を越える間に雨を落としてしまうため、瀬戸内に届く空気は乾いています。高松の年間降水量は約1,100mmほどで、東京の約1,600mmと比べると3分の2ほど。日照時間は長く、冬も雪はほとんど降りません。
- 雨が少ない:オリーブは根が水に浸かりっぱなしになるのを嫌う。乾いた土地ほど向いている
- 光が強く、長い:光をたっぷり浴びるほど、葉が締まり、幹が太る
- 冬が温暖:オリーブは寒さに比較的強いものの、強い凍結は苦手。海に囲まれた小豆島は冬の冷え込みが穏やか
つまり瀬戸内は、日本の中でいちばん「地中海に近い顔」をした土地なのです。
でも、地中海とは決定的に違うところがある
それは、梅雨と、蒸し暑い夏です。地中海の夏は乾いていますが、日本の夏は雨のあとに湿った空気がこもります。オリーブにとっては、ここがいちばんの難所。湿気がこもると、葉が蒸れ、病気が出やすくなります。
だから香川の生産者は、枝を透かして風を通す剪定を欠かしません。創樹のオリーブ盆栽が「太い幹と細やかな枝葉のバランスが絶妙」なのは、見た目のためだけではなく、湿った日本の夏を乗り切るための技でもあるのです。
この「違い」は、そのままご家庭での育て方の基本になります。
| 地中海との違い | だから、こうする |
|---|---|
| 梅雨と夏の湿気がある | 風通しのよい場所に置く。室内ならときどき窓を開けて空気を入れ替える |
| 雨が多く、土が乾きにくい | 水やりは「土の表面がしっかり乾いてから」。お皿に溜まった水は必ず捨てる |
| 室内は光が足りない | いちばん明るい窓辺が定位置。暖かい季節は屋外の明るい場所に出すと元気になる |
| 冬の冷え込みが地域によって厳しい | 今回の一鉢は耐寒性0℃。霜や凍結に当てず、冬は室内の明るい窓辺へ |
100年かけて、オリーブは「日本の木」になった
小豆島で根づいたオリーブは、はじめはオイルや実を採るための農作物でした。それが100年の間に、庭のシンボルツリーになり、鉢植えのインテリアグリーンになり、そして盆栽仕立てという、日本ならではの楽しみ方にまで広がりました。
香川の創樹は、オリーブの生産者でありながら、盆栽の技術で幹の曲がりや根の張りを仕立てます。地中海生まれの木を、日本の盆栽の目で眺める。小さな一鉢の中に、100年の時間と、ふたつの土地の風景が重なっています。
今日の一鉢:くの字に曲がる幹のルッカ

今回の一鉢は、創樹が仕立てたオリーブ「ルッカ」の小品盆栽。高さ約23cm、幅約15cmの卓上サイズです。
白っぽい太い幹が根元から立ち上がり、途中でくの字に曲がって、その先に小さな葉を茂らせています。曲がり角には、仕立てのときに枝を切った切り株の跡。まっすぐ伸ばせば楽なところを、あえて向きを変えて育ててきた、職人の手の跡です。横から眺めると、幹の動きがいちばんよく分かります。
器は、青みがかったグレー地に、干上がった大地のようなひび割れ模様が入ったセメント鉢(鉢底穴あり・お皿付き)。乾いた土地で生きるオリーブに、よく似合う器です。

基本の育て方
| 置き場所 | 特に風通しがよく、日当たりの良い場所。室内管理の場合は、できるだけ日当たりを重視してください。 |
|---|---|
| 水やり | 土の表面がしっかりと乾いたら与えます。 |
| 耐寒性 | 0℃(今回の一鉢) |
よくある質問
Q. 東京で育てても、香川のように元気に育ちますか?
A. 日当たりと風通しさえ確保できれば、東京でも十分育ちます。瀬戸内との違いは、雨の多さと冬の冷え込み。鉢植えなら、水やりを乾かし気味にして、冬は霜に当てないだけで、その差は埋められます。
Q. 香川県産のオリーブと、ほかの産地のオリーブは違いますか?
A. 品種が同じなら、木そのものに大きな違いはありません。違いが出るのは「仕立て」です。香川には100年のオリーブ栽培の蓄積があり、創樹のように盆栽の技術で仕立てる生産者がいます。幹の曲がりや根の張りは、産地よりも、仕立てた人の手で決まります。
Q. ルッカはどこの品種ですか?
A. イタリア・トスカーナ生まれの品種で、寒さや病気に強く、観賞用としてもよく育てられています。品種の話はオリーブ「ルッカ」とは?【GORI図鑑】でご紹介しています。
Q. 小豆島に行けば、オリーブの古木が見られますか?
A. 小豆島には、明治の試験栽培のころから続く園地や、オリーブをテーマにした公園があります。島全体がオリーブの産地なので、季節を問わずオリーブ畑の風景に出会えます。訪れる際は、最新の開園情報を各施設でご確認ください。
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GORI STORE TOKYOのオリーブ盆栽 ルッカ 小品(創樹・くの字に曲がる幹×ひび割れ模様のセメント鉢)
今回ご紹介した一鉢は、GORI STORE TOKYOのオンラインストアでご覧いただけます。香川・創樹が仕立てた、高さ約23cmのオリーブ盆栽ルッカ。ひび割れ模様のセメント鉢(鉢底穴あり・お皿付き)入りで、同じものは二つとない一点物です。
▶ 創樹 オリーブ盆栽 ルッカ 小品(くの字に曲がる幹×ひび割れ模様のセメント鉢)を見る
※一点物のため、売り切れの際はご容赦ください。植物は生きものですので、時間と共に変化いたします。
地中海の木が、瀬戸内の光の中で100年を過ごし、職人の手で小さな一鉢になりました。窓辺に置いたら、ふたつの土地の風景を思い浮かべてみてください。
GORI