米中間選挙で若者の7割が民主党へ──「親より豊かになれる」と思える若者は25%。花屋が、次の世代のために植えておく木

米中間選挙で若者の7割が民主党へ──「親より豊かになれる」と思える若者は25%。花屋が、次の世代のために植えておく木

こんにちは、GORIです。

11月3日に投票が行われたアメリカの中間選挙で、トランプ大統領が率いる共和党が大敗しました。日本経済新聞によると、民主党が上院と下院の両方で多数派を取り戻しています。ワシントン支局長の河浪武史さんはこの結果を、2016年から続いた「トランプ時代」の終わりの始まりと書きました。私がいちばん長く目を止めたのは、選挙の勝ち負けではありません。記事の後半にあった一つの数字です。「親よりも豊かになれる」と考えるアメリカの若者(18〜29歳)は、25%しかいない。 4人に1人です。花屋として、木を植える仕事をしている人間として、この数字は他人事に思えませんでした。

2026年の米中間選挙で、何が起きたのか

記事で報じられた数字を整理します。

  • トランプ大統領の支持率は32%(ロイター・イプソス調査)。1期目の中間選挙だった2018年の43%から大きく下がっていました。
  • アメリカ最大級の社会主義組織「米国民主社会主義者(DSA)」は若者を次々に取り込み、10年で会員が10倍以上の12万人に増えました。
  • 18〜29歳の若者の7割が、民主党の候補に投票しました。
  • 民主党の中でも主流派は勢いを失いました。当選15回、民主党議会でも指折りの国際派とされるデゲット下院議員(コロラド州)は、予備選で29歳の民主社会主義者に敗れています。
  • 民主党を押し上げたのは、大企業や富裕層への大増税を訴える急進左派の勢力だと記事は書いています。

記事の見立てでは、この選挙には二つの大きな渦がありました。一つはトランプ大統領の不人気。もう一つは、若者の左傾化です。

なぜ若者は怒っているのか

記事には識者のコメントも寄せられていました。政策研究大学院大学の岩間陽子教授は、ハーバード大学ケネディスクールの政治研究所(Institute of Politics)の調査を引いて、若者の関心事を挙げています。1位は生活費(9割以上)、2位は政府の腐敗、3位は海外の戦争への関与、4位は医療の値段。そして、若者の約7割が民主党を支持したのは「トランプ大統領とその政策への反対」であって、民主党の政策を積極的に選んだわけではない、という指摘でした。

つまり、若者は誰かを熱烈に応援したのではなく、今の暮らしと、この先の見通しに怒っている。

記事はさらに、日本・アメリカ・ヨーロッパの自由主義の国々が、所得格差、気候変動、膨らみすぎた借金といった課題を先送りし、その重い負担を結果として若者に押しつけている、と書いています。これはアメリカだけの話ではありません。日本の話でもあります。

「壊す力」と「育てる力」は別物

記事の中に、こんな見立てがありました。トランプ氏には戦後の仕組みを壊す力はあっても、次の秩序を築く力はなかった、と。

政治の評価は、私の仕事ではありません。共和党が良い、民主党が良い、という話をするつもりもありません。ただ、「壊す力」と「築く力」は別物だという話は、植物の世界でも毎日のように見ています。

剪定がそうです。 伸びすぎた枝を切るのは、誰にでもできます。でも、腕のいい職人は、切る前に「次にどの芽を伸ばすか」を決めてから切ります。残す芽を決めずにバッサリ切れば、木はしばらく見た目がすっきりしても、翌年には思わぬところから勢いのいい枝が暴れ出す。最悪の場合、弱って枯れます。

切ることは一瞬。育つのは何年もかかる。だから剪定は、未来の枝ぶりを描ける人がやる仕事です。

木を植える人は、その木陰に座れないかもしれない

「社会が偉大になるのは、自分は座ることのない木陰のために、老人が木を植えるときだ」という古いことわざがあります。

花屋や造園の仕事をしていると、この言葉の重さが身に沁みます。シンボルツリーを植えても、それが本当に立派な木陰をつくるのは10年、20年先です。植えた人より、その家で育つ子どもの方が、その木陰を長く使う。

逆もあります。手入れを先送りにした木は、根が詰まり、幹が傷み、次の世代に「切るしかない木」として残ります。先送りのツケは、植物でも、ちゃんと次の人に回ります。

「親より豊かになれる」と思える若者が4人に1人。その数字を見て私が思ったのは、私たちの世代は、木陰を残しているのか、切るしかない木を残しているのか、ということでした。

花屋が、次の世代のためにやること

大きな話をしても仕方がないので、私の手の届く範囲で、やると決めていることを書きます。

一つ目。若い人に、先送りの仕事を残さない。 古いやり方、誰も説明できない慣習、「昔からこうだから」。それを若いスタッフにそのまま引き継ぐのは、手入れをしていない木を渡すのと同じです。見直すべきものは、今の世代のうちに見直す。

二つ目。若い人が、ちゃんと食べていける花屋にする。 若者の関心の1位は生活費でした。花屋は、好きで飛び込んでくる若い人に支えられている業界です。その好きな気持ちに甘えず、働いた分がきちんと暮らしに返ってくる仕組みをつくる。それが経営者の責任だと思っています。

三つ目。「1本から」「小さな鉢から」の入口を守る。 生活費が苦しい時に、花はいちばん最初に削られます。それでも、1本の花、手のひらサイズの観葉植物なら、部屋に緑を置ける。その小さな入口を閉じない。暮らしが苦しい時ほど、植物は人の気持ちを支えてくれると、私は本気で信じています。

四つ目。10年先に効く木を植え続ける。 植木や庭の仕事では、今年の売上より、10年後にどんな景色になっているかを考えて提案する。気候が変わっていく中で、次の世代でも元気に育つ木を選ぶ。これは植物屋にしかできない、未来への仕事です。

先日、水やりは一人前になるまで3年かかるという話を書きました。植物を育てるのも、人を育てるのも、すぐには結果が出ません。だからこそ、待てる大人でいたい。長い時間軸で世界と日本の歩みを見た回でも書きましたが、物事は10年、20年の単位で見ると、まったく違う景色が見えてきます。

よくある質問(FAQ)

Q. 2026年のアメリカ中間選挙の結果はどうなりましたか?
2026年11月3日(米国時間)に投開票が行われ、日本経済新聞によると、トランプ大統領が率いる与党・共和党が大敗し、民主党が上院・下院の両方で多数派を奪還しました。同紙はこれを、2016年の大統領選から続く「トランプ時代」の終わりの始まりと論じています。

Q. なぜ若者の多くが民主党に投票したのですか?
18〜29歳の約7割が民主党候補に投票しました。日経電子版に寄せた識者コメントで、岩間陽子教授(政策研究大学院大学)は、理由は民主党の政策への積極的な支持ではなく、トランプ大統領とその政策への反対だと指摘しています。若者の関心事の1位は生活費(9割以上)で、政府の腐敗、海外の戦争への関与、医療の値段が続きます(ハーバード大学ケネディスクール政治研究所の調査)。

Q. 米国民主社会主義者(DSA)とは何ですか?
日本経済新聞は「米国最大級の社会主義組織」と紹介しています。若者を次々に取り込み、10年間で会員数が10倍以上の12万人に増えました。今回の選挙では、当選15回の民主党ベテラン議員が、予備選で29歳の民主社会主義者に敗れる場面もありました。

Q. 「親より豊かになれる」と考える若者が25%というのは、どういう意味ですか?
日本経済新聞によると、アメリカの18〜29歳のうち、親よりも豊かになれると考える人は25%しかいません。記事は、日米欧の自由主義の国々が所得格差・気候変動・過大な債務といった課題を先送りし、結果としてその負担を若者に押しつけていると論じています。

Q. 花屋のブログで、なぜ選挙の話を書くのですか?
特定の政党や政治家を応援するためではありません。木を植え、育て、次の世代に渡すのが植物屋の仕事です。「先送りされた負担を若い世代が背負う」という話は、手入れを先送りにした木が次の人に回るのと同じ構造で、花屋として自分の仕事を見直すきっかけになると考えて書きました。

アメリカは、ここから「ポスト・トランプ」へ動き出すと記事は書いていました。どんな政治になるのか、私には分かりません。ただ一つ確かなのは、どの国でも、どの時代でも、次の世代はやって来るということです。その人たちに、切るしかない木を残すのか、座れる木陰を残すのか。花屋の私にできるのは、今日も1本の木を、10年先を思って植えることです。

今日も、あなたの一日に緑と花がありますように。

GORI

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