トゲのないサボテン 鬼面角(キメンカク) 白い陶器鉢の一点物 GORI STORE TOKYO

鬼面角(キメンカク)とは?トゲのないサボテンはなぜトゲがないのか。トゲの4つの役目と刺座のしくみ、南米の故郷と育て方【GORI図鑑】

こんにちは、GORIです。

鬼面角(キメンカク)は、南アメリカ生まれの丈夫な柱サボテン。そして「トゲのない鬼面角」は、本来トゲが出るはずの刺座(しざ)に白い綿毛だけが残った、触れても痛くないサボテンです。今日はこの鬼面角を入り口に、「サボテンのトゲは何のためにあるのか」「なぜトゲのないサボテンが存在するのか」を、店頭に届いた一株を眺めながら書いてみます。

鬼面角(キメンカク)とは、どんなサボテン?

鬼面角は、サボテン科ケレウス属の柱サボテンです。学名は Cereus hildmannianus(ケレウス・ヒルドマニアヌス)。園芸の世界では長く Cereus peruvianus(ケレウス・ペルヴィアヌス)の名前で流通してきたので、どちらの名前を見ても同じ仲間だと思ってください。

故郷はブラジル南部からパラグアイ、アルゼンチン北部にかけての草原と低木林。砂漠ではなく、夏にまとまった雨が降り、冬は乾いて涼しくなる土地です。野生では高さ10mを超える大きな柱になり、夜に白い大輪の花を咲かせ、赤い実をつけます。日本には古くから入ってきていて、丈夫さを買われて接ぎ木の台木にも使われてきました。温室や公園で天井に届きそうな柱サボテンを見かけたら、鬼面角の仲間であることがよくあります。

「鬼面角」という名前は、稜(りょう・縦に走る山)のあいだに刺座が並ぶ姿を、鬼の顔に見立てたものだといわれています。ちなみに、成長点が乱れてごつごつした岩のような姿になる「岩石獅子(がんせきじし)」も、同じ鬼面角の変わりもの。ひとつの種類の中に、ずいぶん違う顔が隠れているサボテンです。

サボテンのトゲは、何のためにある?

サボテンのトゲは、じつは「葉」が姿を変えたものです。乾いた土地では、広い葉を持つと水分がどんどん逃げていきます。そこでサボテンは葉を小さく硬くしてトゲに変え、光合成の仕事は緑色の茎に任せました。私たちが「サボテンの体」と呼んでいる緑の部分は、植物学的には茎なんです。

トゲの仕事は、私が知るだけでも4つあります。

  • 食べられないため。水をたっぷり蓄えた体は、乾いた土地の動物にとってごちそうです。トゲはその守り
  • 日よけ。密に生えたトゲは体に細かな影を落とし、強い日差しをやわらげます。吹雪柱やライオン錦の白い毛は、この日よけの役目が特に大きい
  • 水あつめ。朝霧や夜露がトゲの先に集まり、しずくになって根元へ落ちます
  • 放熱と保温。トゲの層が空気をため、昼の熱と夜の冷えをやわらげます

そしてトゲが生える場所が「刺座(しざ)」。稜の上に点々と並ぶ、白い綿毛のクッションです。刺座はサボテンだけが持つ器官で、植物学的にはごく短い枝にあたります。トゲも花も子株も、すべてこの刺座から出てきます。

では、なぜ「トゲのないサボテン」が存在するのか?

野生のサボテンは、トゲがなければ生き残れません。ところが栽培の世界では、ときどきトゲがほとんど出ない個体が現れます。生まれつきの性質(変異)で、トゲをつくる仕組みが弱くなった株です。野生なら真っ先に食べられてしまうこの株を、人は「やさしい姿でいい」と選び、挿し木や子株で増やしてきました。今、お店に並ぶトゲなしの鬼面角は、そうやって人の手で守られてきた系統です。

ここで面白いのは、トゲは消えても、刺座は消えないこと。トゲなしの鬼面角をよく見ると、稜の上に白い綿毛の点がきちんと等間隔に並んでいます。トゲをつくる道具は置いてきたけれど、「ここにトゲがあったはずだ」という場所の記憶は体に残っている。私はこの綿毛の点を見るたびに、サボテンの体の設計図を覗いているような気持ちになります。

同じ「トゲがない」でも、理由はいろいろです。綴化(てっか)のように成長点そのものが変わってしまうもの、品種改良で選ばれたもの、幼いうちだけトゲが弱いもの。綴化の話はサボテンの綴化(てっか)とは何か【GORI図鑑】で書きました。鬼面角のトゲなしは、成長点は正常なまま、トゲだけが出ない系統です。だから姿はきれいな柱のまま、ゆっくり上へ伸びていきます。

店頭に届いた一株を見る

今回、GORI STORE TOKYOに届いた鬼面角は、高さ約20cm・幅約12cmの卓上サイズ。5本前後の丸みのある稜が根元から頂点へと伸び、頂点でふわりと寄り合っています。肌は青みがかった深いグリーンで、光の加減で白い粉を帯びたように見える。稜の上には白い綿毛の刺座が等間隔に並び、トゲは一本もありません。指で稜をなぞっても、綿毛がふわっと触れるだけです。

合わせた器は、白い陶器鉢。上半分はつややかな釉薬、下半分はざらりとしたマットな質感で、小さな鉄点(黒い斑点)が散っています。白い器に深い緑の柱。白い刺座の点が器の白と呼び合って、シンプルなのにきちんと「見せ場」がある一鉢になりました。この株はトゲのないサボテン 鬼面角(キメンカク)×白い陶器鉢の一点物として、オンラインストアでご紹介しています。

トゲのない鬼面角の育て方

育て方は、ふつうのサボテンと同じです。むしろトゲがない分、植え替えや置き場所の移動がしやすい。

  • 置き場所:日当たりと風通しのよい場所。室内なら明るい窓辺に。光が足りないと頂点だけが細く伸びる「徒長」が起きます
  • 水やり:土の表面が乾いてから、さらに数日置いて。サボテンは体の90%が水分なので、与えすぎが最大の失敗です。春〜秋は2〜3週間に1回、冬は月1回かそれ以下が目安
  • 温度:最低気温3℃以上。寒さには比較的強いけれど、低温と湿った土の組み合わせは避ける
  • 成長:室内では一年に数cm。背が高くなりすぎたら、上部を切って挿し木にできます

よくある質問

Q. トゲがないサボテンは弱いのですか?

A. 野生ではトゲがないと生き残りにくいのは事実ですが、室内で育てる分には関係ありません。鬼面角そのものがサボテンの中でも特に丈夫な種類なので、トゲなしでも育てやすさは変わりません。

Q. 白い綿毛はカビではないですか?

A. カビではなく「刺座」です。トゲをつくる場所に残った綿毛で、サボテンの正常な器官です。ただし、白い粉状のものが広がってべたつく場合はカイガラムシの可能性があるので、綿棒で取り除いてください。

Q. 子どもやペットがいても置けますか?

A. トゲがないので、触れてけがをする心配はありません。ただし植物を口に入れないよう、小さなお子さまやペットの手が届く場所では見守ってあげてください。

Q. 花は咲きますか?

A. 原産地では夜に白い大輪の花を咲かせますが、咲くのは大きく育った株です。室内の卓上サイズでは、まず咲きません。姿の変化をゆっくり楽しむサボテンだと思ってください。

トゲをなくしたサボテンは、ある意味で「野生を一つ手放した」植物です。でもその代わりに、人の手の届く場所に置けるようになった。白い綿毛の点を眺めながら、トゲがあった頃の記憶と、今のやさしい姿の両方を感じてもらえたらうれしいです。

GORI

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