家具の8割は捨てられている──ニトリが25億円で国内最大級のリサイクル施設へ。花屋が考える「植物と鉢の循環」

家具の8割は捨てられている──ニトリが25億円で国内最大級のリサイクル施設へ。花屋が考える「植物と鉢の循環」

こんにちは、GORIです。

日本で使われなくなった家具のうち、リサイクルされているのは2割ほど。残りの8割は、そのまま捨てられているとみられます。そこに家具最大手のニトリホールディングス(HD)が、約25億円を投じて国内最大級の家具リサイクル施設をつくるというニュースが、日本経済新聞に載っていました。2028年度の上半期に、埼玉県で動き出す予定だそうです。家具と花屋。一見遠いようで、「長く使う」「最後まで責任を持つ」という点で、私には他人事に思えない話でした。

ニトリは何をつくるのか?

記事で報じられている内容を整理します。

  • 投資額は約25億円。土地は1万5000平方メートルで、再資源化の施設2棟と、事務所兼研究施設1棟で構成します。
  • 施設と土地はニトリが持ち、リサイクル作業は外部の事業者に任せます。
  • 年間1万トン以上の家具やインテリアを回収・分解して、原材料に戻します。ニトリHDによると、家具のリサイクル施設として日本最大級です。
  • 取り出した木材や金属などは、セメント会社や製紙会社などに売る予定です。
  • ニトリはこれまでも有料で不要品を引き取ってきましたが、回収した物は捨てていました。施設ができれば、処理コストを年間1億円以上減らせると見込んでいます。

捨てていた物を、売れる原料に変える。しかもコストまで下がる。環境のためだけでなく、商売として筋が通っているところに、本気度を感じました。

なぜ家具のリサイクルは進まなかったのか?

記事によると、理由は大きく3つです。

  • 重い。 運ぶだけで手間とお金がかかります。
  • 素材がまざっている。 木、金属、プラスチックなどが組み合わさっていて、分解に手間がかかります。
  • ルールがない。 家電には「家電リサイクル法」があり、消費者も処理費用を負担する仕組みがあります。家具には、そうした専用の法律がありません。

その差は数字にはっきり出ています。大型家電では、回収したエアコンの93%、冷蔵庫・冷凍庫の80%が再び商品化されています。家具の2割とは大きな開きです。

ニトリは国内の家具販売で2割ほどのシェアを持つ最大手です。回収できる量が多いので規模の経済が働き、自前の物流網もある。だから、これまで「採算が合わない」とされてきた壁を越えられると判断した、というのが記事の見立てです。

「売ったら終わり」から「最後まで」へ

記事には、ヨーロッパなどで定着している「拡大生産者責任(EPR)」という考え方も出てきます。商品をつくって売った会社が、捨てる段階や再利用まで責任を持つべきだ、という考え方です。

国内の動きも紹介されていました。

  • イケア・ジャパンは2017年から、使わなくなった自社家具の買い取りを始めています。手入れをして割安で売り直したり、組み立て部品を無料で提供して長く使えるようにしたりしています。
  • 良品計画も、家具を回収・修理して売り直しています。
  • ニトリも、回収した家具を手入れして売り直す事業や、分解しやすい商品づくりにつなげたい考えです。

ボストン・コンサルティング・グループの調査では、環境への負荷が少ない商品を買いたい人は6割にのぼるそうです。手軽に買えて、手軽に捨てられる。そんな流れが、少しずつ変わり始めているのだと思います。

花屋が考える「植物と鉢の循環」

ここからは、私の受け止めです。

植物は、そもそも循環の名人です。 伸びた枝を切って水に挿せば根が出る。大きくなった株を分ければ、2鉢、3鉢と増えていく。葉を落とし、土に還り、また次の芽を育てる。家具が「分解して原料に戻す」のに何十億円もかけている横で、植物は自分の力でそれをやってのけます。私が植物を大好物だと言い続ける理由の一つです。

一方で、植物の世界にも「捨てているもの」はあります。いちばん身近なのは鉢です。植え替えのたびに、小さくなったプラスチック鉢が家に残る。割れていない陶器の鉢が、物置で眠っている。そういう方は多いのではないでしょうか。

私たちのグループには、オフィスなどに植物をお貸しして、定期的に手入れをしに伺う貸植木(レンタルグリーン)の仕事があります。弱った植物は引き取って回復させ、また別の場所で働いてもらう。これも、形は違えど「一つの物を長く使い回す」仕組みです。家具の世界で今始まろうとしていることを、植物の世界では昔から地道にやってきた、という気持ちもあります。

先日書いた切り花を長持ちさせる薬「STS剤」が銀の高騰で値上がりした話でも、使い終わった薬から銀を回収して作り直す、という話が出てきました。家具も、花の薬も、「使い終わったら終わり」ではなくなってきている。車も物も植物も、長く大切に使う。私が信じてきた考え方が、ようやく大きな会社の経営の言葉になってきた。そう感じて、正直うれしくなりました。

家で植物と鉢を長く使うために、できること

大きな施設がなくても、家の中でできる循環があります。

  • 割れていない陶器の鉢は、洗ってもう一度使う。 たわしで土を落とし、よく乾かせば十分です。
  • 植え替えで余ったプラスチック鉢は、挿し木や株分けの「次の一鉢」に回す。 増やした株は、友人へのおすそ分けにも向いています。
  • 伸びすぎた枝は捨てずに挿し木に挑戦する。 ポトスやモンステラなどは、水に挿すだけで根が出やすい植物です。
  • 鉢を選ぶときは「長く付き合える器」を選ぶ。 気に入った鉢は、植物が入れ替わっても使い続けられます。
  • 家具を選ぶときと同じように、植物も「置き場所」から考える。 合わない場所に置くと弱りやすく、結果として買い替えが増えます。

よくある質問(FAQ)

Q. ニトリのリサイクル施設はいつ、どこで動くのですか?
日本経済新聞の報道によると、埼玉県に約25億円を投じて開設し、2028年度の上半期に稼働する予定です。土地は1万5000平方メートルで、年間1万トン以上の家具・インテリアを回収・分解して原材料に戻します。

Q. 日本の家具のリサイクル率はどれくらいですか?
ニトリHDが環境省の調査をもとに試算したところ、2割程度にとどまり、残りの8割は捨てられているとみられます。大型家電ではエアコンの93%、冷蔵庫・冷凍庫の80%が再商品化されており、大きな差があります。

Q. なぜ家具は家電よりリサイクルが進んでいないのですか?
家具は重く、木材・金属・プラスチックなど複数の素材が使われていて分解に手間がかかります。さらに家電リサイクル法のような専用の法律がなく、再資源化しても採算が合いにくかったためです。

Q. 拡大生産者責任(EPR)とは何ですか?
商品をつくった会社が、販売後の廃棄や再利用まで責任を持つべきだという考え方です。ヨーロッパなどで定着しており、資源の循環を促す法律も整備されています。

Q. 家で植物の鉢を無駄にしないコツは?
割れていない陶器鉢は洗って再利用し、余ったプラスチック鉢は挿し木や株分けで増やした株の植え付けに使うのがおすすめです。気に入った鉢を長く使い続けるのも、立派な循環です。

家具が「捨てる物」から「巡る物」に変わろうとしています。植物は、最初から巡る生き物です。お気に入りの鉢に、何年も同じ植物が育っている。株を分けて、大切な人の家にも緑が増えていく。そんな「長く続く緑」を、一鉢ずつ届けていきたい。花屋として、改めてそう思いました。

今日も、あなたの一日に緑と花がありますように。

GORI

ブログに戻る

コメントを残す

コメントは公開前に承認される必要があることにご注意ください。