こんにちは、GORIです。
花の買い方が、また一つ変わります。株式会社TKなにわ花いちば(徳島県徳島市)が、2027年1月より大阪鶴見花き地方卸売市場での販売を行うことになりました。そしてこの参画に伴い、これまで同社で実施してきた「場内でのセリ」を廃止し、「大阪鶴見WEB販売システムの在宅セリ」へ販売を移行すると発表されています。
セリ場に人が集まって声と手で競り落とす。あの光景が、また一つ役目を終えます。同社は狙いとして、花き流通の効率化と品質保持を掲げ、物流拠点の集約ならびに同一システムを活用したWEB・在宅セリ販売の促進を図るとしています。移行にあたっては、買参人(市場で買う権利を持つ花屋や仲卸)に、在宅セリを利用するための専用IDとパスワードが発行されます。詳細については後日、説明会が開催される予定です。
そもそも「セリ」と「在宅セリ」は何が違うのか?
花の市場では、産地から届いた花に値段をつけて買い手に渡します。その値決めの方法が「セリ」です。
場内セリは、早朝の市場のセリ場に買参人が集まり、目の前を流れていく花を見ながら、その場で競り合って値をつける方式です。実物を見て、手に取って、隣の花屋の動きも見ながら判断する。在宅セリは、これをWEBのシステム上で行うもの。自分の店や自宅のパソコンから、画面越しに同じセリに参加します。
つまり今回の変更は、「市場へ行って買う」から「どこにいても買う」への切り替えです。全国の市場で少しずつ進んできた流れですが、場内セリそのものを廃止して全面移行する、というのは大きな決断だと思います。
なぜ、場内セリをやめるのか?
発表されている理由は、効率化と品質保持、そして物流拠点の集約です。ここは、同じ花を扱う者として腐に落ちるところがあります。
花にとって、運ばれる回数と時間は、そのまま鮮度の目減りです。産地から市場へ、市場から別の市場へ、そして店へ。積み替えるたびに、水が切れ、温度が変わり、花は少しずつ疲れていきます。物流拠点を集約して経路を短くすることは、花の品質を守るうえで、理屈のうえでは確かに正しい。
そして「セリのために人と花を同じ場所・同じ時刻に集める」という制約が外れれば、荷物の流れは組み替えやすくなります。効率化と品質保持が同じ方向を向いている、というのがこの話の芯だと私は読みました。
花屋にとって、何が変わるのか?
得るものと、失うものの両方があります。正直に書きます。
得るものは、まず時間です。早朝に市場へ出向く往復の時間がなくなれば、そのぶんを店の仕事に回せます。距離のハンディも小さくなる。遠方の花屋が、同じ条件で同じ花に手を挙げられるようになります。荷が動く回数が減れば、届く花の状態がよくなることも期待できます。
失うものも、はっきりあります。現物を目で見て買えないということです。写真とデータで判断する買い方は、どうしても「間違いのない花」に寄っていきます。それから、セリ場という場所そのものが持っていた機能。どの産地が調子いいか、何が動いているか、あの雑談の中にあった情報は、画面には出てきません。
とはいえ、これは止まらない流れだと思っています。人手が減り、燃料が上がり、天候が荒れる。そのなかで花を届け続けるには、仕組みを変えるしかない。であれば、嘆くより先に、新しい買い方で目利きをする腕を磨くほうが早い。画面の写真からでも花の状態を読み取れるようになること。産地とじかにつながって情報を取ること。私たちにできることは、まだあります。
花を買う側として、いま何を準備すべきか?
買参人の立場でいえば、やることははっきりしています。専用IDとパスワードの発行を受け、説明会に出て、システムに触っておくことです。切り替わってから覚えるのでは、その日の仕入れが一日まるごと空きます。使えるようになる前に慎れておく。段取りとは、そういうことです。
そして花を届ける側の心構えとしては、こうも思います。買い方がどれだけ変わっても、お客さまの手元に渡るときの花の状態だけは、私たちの責任です。仕組みが変わることを言い訳にしない。そこは変えずにいきたいと思っています。
よくある質問(FAQ)
Q. TKなにわ花いちばの場内セリは、いつ廃止されるのですか?
2027年1月からです。同社が大阪鶴見花き地方卸売市場に参画することに伴い、これまで実施してきた場内でのセリを廃止し、大阪鶴見WEB販売システムの在宅セリへ販売を移行します。
Q. 在宅セリとは何ですか?
市場のセリ場に出向かず、WEBシステムを通じて自分の店や自宅からセリに参加する仕組みです。今回は「大阪鶴見WEB販売システム」が使われます。
Q. 買参人は何を準備すればよいですか?
移行に伴い、在宅セリを利用するための専用IDとパスワードが発行されます。詳細については後日、説明会が開催される予定と案内されています。
Q. なぜ場内セリをやめるのですか?
花き流通の効率化と品質保持を目指し、物流拠点の集約ならびに同一システムを活用したWEB・在宅セリ販売の促進を図るためとされています。
Q. 花の品質にはどう影響しますか?
花は輸送のたびに水が切れ、温度が変わり、鮮度が落ちていきます。物流拠点を集約して経路を短くすることは、品質保持の面では有利に働くと考えられます。一方で、実物を見て選べなくなるという買い手側の課題は残ります。
仕組みは変わっても、花のよさを見抜く目は変わりません。今日も、あなたの一日に緑と花がありますように。
GORI