こんにちは、GORIです。
世界最大のコーヒーチェーン、スターバックスが、韓国で大きくつまずきました。原因は、たった一つの販促キャンペーンの「日付」と「言葉」です。その影響で韓国事業は四半期として初めての赤字になり、空いた席を地元のチェーンが取りにいっている。そんなニュースが日本経済新聞に載っていました。読みながら、何度も「これは花屋にもそのまま当てはまる」と背筋が伸びました。
スターバックスは何を間違えたのか?
記事で報じられている内容を整理します。
- スターバックスは5月18日に、大容量タンブラー「タンク」シリーズにちなんだ「タンクデー」という販促を行いました。
- 5月18日は、1980年に民主化を求める市民と軍が衝突し、100人以上が亡くなった光州事件が起きた日です。韓国では、この日付を聞くと軍事政権下の弾圧を思い出す人が多いといいます。
- 「タンク」には「戦車」の意味もあるため、歴史への配慮を欠いていると強い批判を浴びました。
- 韓国法人は、十分な審査をしないまま実施した単純なミスで、歴史を軽んじる意図はなかったと説明。謝罪したうえで、全従業員に歴史の研修を受けさせました。
悪意があったわけではない。それでも、受け取る側にとって特別な日に、特別な意味を持つ言葉を重ねてしまった。商品が良くても、伝え方ひとつで信頼が崩れる。その怖さがよくわかる出来事です。
数字で見る、その後の韓国カフェ市場
- スターバックスは韓国に2185店を構える、同社にとって重要な市場です。
- 事件後は売り上げが落ち込み、2026年4〜6月期は184億ウォン(約21億円)の営業赤字。四半期ベースで初めての赤字です。
- 研究者によると、歴史問題に敏感な一部のお客様は、トゥーサムプレイスやイディヤコーヒーなど、似た空間を提供するカフェに流れたといいます。
- コーヒーとデザートを一緒に楽しむ店づくりのトゥーサムプレイスは、営業利益が2022年12月期の219億ウォンから、2025年12月期は363億ウォンへ。3年連続で過去最高です。10月には米国1号店をワシントン近郊に出す計画だそうです。
一方で、韓国はカフェの競争がとにかく激しい国です。ソウル市のデータでは、カフェの4割は開業から3年以内に消える。主要な外食産業の中で、いちばん廃業率が高いそうです。
18年続く個人カフェの答えは「常連70人」
記事には、ソウルの繁華街・弘大(ホンデ)で2008年からカフェを営むバリスタの方が登場します。2005年に韓国のトップバリスタに選ばれた方で、長年集めた数百個のコーヒー器具を店に並べているそうです。
その方が店を18年続けてこられた理由として挙げていたのが、毎日来てくれる70人ほどの常連客でした。そして、こうも話しています。大手チェーンの強みは「安心感」だ、と。お客様は味がわかっているから大手に行く。新しい店を試すより、慣れた店を選ぶ。
ここ、私は深くうなずきました。小さな店が大手と「安心感」の土俵で戦っても、まず勝てません。だからこそ、顔の見える関係で、自分の店だけの安心感をつくるしかない。70人の常連さんは、まさにそれを積み上げてきた結果だと思います。
花屋にも「日付」と「言葉」の落とし穴がある
ここからは、花屋としての私の受け止めです。
花の世界は、日付と言葉にとても敏感な商売です。
- お見舞いに鉢植えは避ける。 「根付く」が「寝付く」に通じるとされるからです。
- お祝いに菊だけ、の花束は慎重に。 日本では仏花の印象が強い花です(最近はおしゃれな洋菊も増えています)。
- 本数にも気を配る。 「4(死)」「9(苦)」を気にされる方がいます。
- 花言葉も確認する。 見た目が華やかでも、意味を知ると贈りにくい花があります。
- カレンダーの日付にも気を配る。 季節の販促を考えるとき、その日が誰かにとってどんな日なのかを一度立ち止まって考える。
スターバックスの件は、大企業でも「審査の一手間」を省くとこうなる、という教訓です。私たちのような小さな店は、ひとつの炎上で立ち直れないこともある。だからこそ、花を包む前に「どなたに、どんな場面で贈るのか」を必ず伺う。この一手間を、これからも絶対に省きません。
小さな花屋の武器は「独自色」と「常連さん」
記事の中で、韓国の大学の先生が、大手には固定客がいるので、それ以外の店は独自色で差別化するしかない、という見方を紹介していました。花屋もまったく同じです。
GORI STORE TOKYOは、平河町の小さな店です。大手の安心感にはかないません。だから私たちは、「植物を通して世界を旅する」という店の軸を立て、一点物の植物に一つずつ物語をつけて並べています。少しズングリむっくりな株も、曲がった幹も、その子だけの魅力です。
そして何より大事なのが、常連さんです。以前書いたiPhoneの値上げと「固定客という財産」の話でも触れましたが、何度も足を運んでくださるお客様こそ、店の一番の財産です。弘大のカフェの70人のように、「あの店のあの人に頼めば大丈夫」と思っていただける関係を、一人ずつ積み上げていきたい。この記事を読んで、改めて腹が決まりました。
よくある質問(FAQ)
Q. スターバックスの「タンクデー」はなぜ批判されたのですか?
販促を行った5月18日が、1980年に光州で民主化を求める市民と軍が衝突し、100人以上が亡くなった光州事件の日だったためです。「タンク(戦車)」という言葉と重なり、歴史への配慮を欠くと受け止められました。韓国法人は謝罪し、全従業員に歴史研修を行いました。
Q. 炎上はスターバックスの業績にどれくらい影響したのですか?
日本経済新聞の報道によると、韓国での売上高が落ち込み、2026年4〜6月期は184億ウォン(約21億円)の営業赤字となりました。四半期ベースでは初めての赤字です。
Q. 韓国のカフェはどれくらい廃業しているのですか?
ソウル市のデータでは、カフェの4割が開業から3年以内に姿を消しています。主要な外食産業の中で最も高い廃業率です。
Q. 大手チェーンに対して、小さな店が生き残る方法は?
記事では、大手の強みは「味がわかっている安心感」だとされています。小さな店は独自色で差別化し、常連客との関係を積み上げることが鍵になります。18年続くソウルの個人カフェは、毎日来る約70人の常連客に支えられています。
Q. 花を贈るときに気をつけたいことは?
お見舞いに鉢植えを避ける、本数(4や9)や花言葉を確認する、贈る相手と場面に合った花を選ぶ、などです。迷ったら、贈る相手と場面を花屋に伝えて相談するのがいちばん確実です。
大きな会社でも、たった一つの日付と言葉でつまずく。小さな店でも、毎日の一手間と常連さんとの関係で、18年続けることができる。花屋の仕事は、花を売ることではなく、贈る人と受け取る人の気持ちを預かることだと思っています。その重みを忘れずに、今日も一束ずつ、一鉢ずつ、全力で向き合います。
今日も、あなたの一日に緑と花がありますように。
GORI