こんにちは、GORIです。
今日ご紹介したいのは、写真集です。『マダガスカル島へ』(今森光彦 著/偕成社・1,760円)。小学生から読める本ですが、大人こそ、それも植物を扱う人間こそページをめくるべき一冊でした。
というのも、マダガスカルは、うちの店に並んでいる株たちの「ふるさと」だからです。パキポディウム。カランコエ・ベハレンシス。あの独特な姿かたちが、どうしてああなったのか。その答えが、この島の風景のなかにありました。
マダガスカル島は、どんな島?
アフリカ大陸の東側に浮かぶ、世界で4番目に大きな島です。
この本を読んでいて、まず息をのんだのが、島の「時間」の話でした。アフリカ大陸では700万年前に人類が誕生していたのに、マダガスカル島に人が住みはじめたのは、わずか1300年前だというのです。しかも人々は、はるばるインドネシアのボルネオ島から、大海原を越えてやって来たのだそうです。
つまりこの島には、人の手がほとんど入らないまま、生き物たちだけで進化を続けた、途方もなく長い時間があった。だからこの島には、世界中でここにしかいない固有種が、驚くほどたくさん生きているのです。
なぜマダガスカルの植物は、あんなに変わった姿なのか?
本書に登場する植物で、私がいちばん見入ってしまったのがディディエレアでした。
乾燥から身を守るために、葉そのものがトゲに変化した植物です。本のなかでは「タコの足」と表現されていますが、まさにそのとおりで、まるでファンタジーゲームに出てくる異世界の植物のよう。地球上の風景とは思えません。
ページをめくると、今度は高さ30メートルのバオバブが、天に向かってそそり立っています。あの、幹だけが異様に太い、逆さまに植えたような木です。
ここに、マダガスカルの植物を理解する鍵があります。雨が少ない。だから水を蓄える。葉から水が逃げる。だから葉を小さくする、あるいはトゲにしてしまう。 ディディエレアのトゲも、バオバブの太い幹も、パキポディウムのぷっくりした株元も、すべては「乾いた島で生き延びる」という同じ課題に対する、それぞれの答えなのです。
奇妙に見える姿は、奇をてらった結果ではなく、極限まで合理的な設計だった。そう気づいたとき、店に並ぶ株を見る目が変わりました。
圧巻は、生き物たちの色と、擬態
植物だけの本ではありません。むしろ本書の圧巻は、生き物たちです。
どぎつい原色の模様をまとった昆虫たち。絵の具をそのまま塗ったような色彩が、これが自然の産物なのかと目を疑うほどです。
そしてマダガスカルヘラオヤモリ。擬態があまりにも見事で、写真のどこにいるのか、しばらく探してしまいました。木の幹と一体化していて、輪郭が見つからない。答えが分かった瞬間の「そこにいたのか」という驚きは、ぜひ実物のページで味わっていただきたいところです。
店に並ぶ「マダガスカルの株」たち
GORI STORE TOKYOでも、マダガスカル生まれの植物を扱っています。
パキポディウム・デンシフローラム。ぷっくりと膨らんだ株元に、黄色い花を咲かせるマダガスカル固有の塊根植物です。あの太った幹は、乾季を越えるための水のタンク。この島の乾いた気候が、そのままかたちになっています。
カランコエ・ベハレンシス。ビロードのような細かい毛に覆われた大きな葉を持つ、これもマダガスカル固有種。あの毛は、強い日差しと乾燥から葉を守るためのもの。手ざわりの心地よさは、この島の厳しさの裏返しなのです。
一鉢の植物には、その株が生まれた土地の気候と時間が、そのまま封じ込められています。「なんとなくかっこいい形」ではなく、「そうならざるを得なかった形」。そう思って眺めると、水やりの間隔ひとつにも意味が見えてきます。乾燥地の株に水をやりすぎてはいけない理由も、頭ではなく体で納得できるはずです。
この夏、お部屋にマダガスカルの風景を一鉢。写真集を片手に眺めれば、その株がぐっと近く感じられると思います。
よくある質問(FAQ)
Q. 『マダガスカル島へ』はどんな本ですか?
写真家・今森光彦さんによる、マダガスカル島の生き物たちの写真集です(偕成社・1,760円)。小学生から読める内容ですが、固有種の植物・昆虫・爬虫類の写真が豊富で、大人の読者にも見応えがあります。
Q. なぜマダガスカルには固有種が多いのですか?
アフリカ大陸から離れた島として長い時間が経過し、独自の進化が進んだためです。本書によれば、人がこの島に住みはじめたのはわずか1300年前で、人の影響を受けない期間が非常に長かったことも背景にあります。
Q. ディディエレアとはどんな植物ですか?
マダガスカルの乾燥地に自生する固有の植物で、乾燥から身を守るために葉がトゲに変化しているのが特徴です。その独特な樹形は「タコの足」とも表現されます。
Q. マダガスカル原産の植物は、家でも育てられますか?
はい。パキポディウムやカランコエ・ベハレンシスなど、日本の住環境で育てられる種類があります。共通するポイントは乾燥地の植物であること。日当たりを確保し、水やりは控えめに、鉢土がしっかり乾いてから与えるのが基本です。
Q. GORI STORE TOKYOでマダガスカル原産の植物は買えますか?
時期によりますが、パキポディウムやカランコエ・ベハレンシスなど、マダガスカル原産の株をお取り扱いしています。一点物が多いため、詳しくはオンラインストアにてお問い合わせください。
遠い島の風景を、手のひらの一鉢に。今日も、あなたの一日に緑がありますように。
GORI