こんにちは、GORIです。
朝、店のBGMが流れる中でニュースを聞いた。
「円、主要通貨で最弱。ニューヨーク市場で1ドル=153円台」――。
驚きよりも、あぁやっぱり…という感覚だった。
ここ最近の“高市トレード”と呼ばれる流れの中で、
市場は政治の温度や言葉一つで揺れる。
金融緩和の継続を織り込んだ円売り、
まるで秋の風に舞う落ち葉のように、
軽やかに、しかしどこか心許ない。
けれど、私達の暮らしにとっては、
「153円」という数字が、
静かに、確実に影を落とし始めている。
花の仕入れ、鉢の輸入資材、
配送コスト――どれも少しずつ上がっている。
価格転嫁なんて簡単にはできないから、
今日も僕は、花の一本一本に祈るような気持ち。
植物は、為替を知らない。
でも、植物の「時間の流れ方」は、
いつだって私に経済よりも大切なことを教えてくれる。
オリーブは、風を読んで枝を伸ばす。
ビカクシダは、湿度を感じて葉を広げる。
彼らにとっての“タイミング”は、
人間のニュースの速さよりもずっとゆっくりだ。
だからこそ思う。
為替が揺れても、
金利が動いても、
僕らが向き合うのは“いま目の前の緑”なんだ。
この153円台というニュースは、
東京の夜景のように遠い話じゃない。
花を一輪買うときの気持ちに、
少しだけ影を落としてしまう。
それでも私は思う。
経済の波の中でも、
人の心を癒せるのが“花”であり“植物”の力だと。
だからこそ今日も、店の前のオリーブを
朝の光に向かってそっと回してやる。
彼の葉の先には、
為替にも政治にも左右されない、
「小さな確かさ」がある気がして。
GORI