こんにちは、GORIです。
―数字では語れない“現場”の声を
最近のニュースを見ていると、
「賃上げ」「増益」「景気回復」という言葉が並びます。
6〜8月期、小売り大手の営業利益は前年同期比7%増。
企業の多くが「物価上昇を価格転嫁し、増収増益を確保」と報じられています。
けれど、その裏側には、
私たちのような中小企業が直面している“静かな現実”があります。
「賃上げが回す消費」——その循環の輪の外で
確かに、企業全体としては賃上げの動きが広がっている。
しかし実質賃金は依然マイナス圏。
生活必需品の値上げが続き、
中小企業では「賃上げに踏み切る余力がない」という声が増えています。
花屋も同じです。
仕入れ値は上がり、人件費も上がり、光熱費も上がる。
でも、お客様の財布事情は厳しい。
値上げをすれば「売れない」。
値上げをしなければ「利益が消える」。
この狭間で、私たちは日々の経営判断を迫られています。
数字の報道と、現場の感覚のズレ
メディアで取り上げられるのは、
大手スーパーや上場企業の決算です。
しかし、そこに映る「7%増益」は、
必ずしも“景気回復”の実感とは一致しません。
お客様の行動を見ていると、
「まとめ買いをやめて必要な分だけ買う」
「ギフトより自宅用の小さな鉢を選ぶ」
そんな選択が増えています。
それでも花を買う人はいる。
「忙しくても、花があると落ち着く」
「値段よりも癒しの方が大事だから」
そう言ってくださるお客様の存在が、
この仕事を続ける力になります。
経営者としての覚悟
私たち中小企業にとって、
今の日本経済はまさに“試されている時代”です。
賃上げも、値上げも、
結局は「人」をどう大切にできるかに行き着く。
働く人のモチベーションが上がらなければ、
どんな数字も意味を持ちません。
だからこそ私は、
「数字を追う経営」から「人を育てる経営」へと
考え方を少しずつ変えています。
花屋という仕事は、
“心の豊かさ”を届ける仕事です。
だからこそ、経済がどんなに揺れても、
人の心を明るくする灯は消したくない。
おわりに
「賃上げが回す消費」——
その“好循環”を本当に実現するためには、
中小企業も安心して挑戦できる環境が必要です。
数字に見えない“現場の声”を、
もっと社会全体で共有できるように。
花屋として、経営者として、
そして一人の生活者として、
この時代をしっかり見つめていきたいと思います。
GORI