こんにちは、GORIです。
ふだん暮らす街とは別に、地方にもう一つの住まいを持つ。週末だけ、月に数日だけでも、その土地で暮らす。そんな「二地域居住」を後押しする自治体が、全国で813まで増えています。2026年10月10日の日本経済新聞「データで読む地域再生」で取り上げられていました。移住のように人生を丸ごと動かすのではなく、まず「通う」「関わる」から始める。この発想、植物と暮らす人にはとてもなじみがある気がして、じっくり読みました。
二地域居住とは? いま何が起きているのか
記事で報じられている内容を整理します。
- 二地域居住とは、主な生活の場所とは別に、特定の地域にも住まいを設ける暮らし方です。
- 国は2024年に関連する法令を拡充し、後押しを始めました。空き家の改修など住まいの整備に加えて、住居専用の地域にコワーキングスペースを新しくつくることも特例で認めています。
- 促進のための官民連携プラットフォームに参加する自治体は、2026年8月末時点で813(1つの広域事務組合を含む)。グラフを見ると、2024年10月の設立時から2年弱で約100自治体増えています。
- 一緒に取り組む企業・団体の数は、それ以上の勢いで増えています。
- 10月16日からは、総務省が地域に愛着を持つ人を見える形にする「ふるさと住民登録制度」の実証を始める、とも報じられていました。
都道府県ランキング──1位は栃木、2位和歌山、3位富山
都道府県別に、推進する自治体の割合を比べたランキングも載っていました(出所は国土交通省)。
- 1位 栃木県:県を含む全26自治体が参加。
- 2位 和歌山県:推進割合83.9%。
- 3位 富山県:推進割合81.3%。
計画をつくり終えた59自治体を、主な施策で分けた表もあります。いちばん多いのは「広域連携」の26件。続いて「教育・地域参加」12件、「住まい・滞在」11件、「なりわい・仕事」10件でした。一つの町だけで完結させず、周りの自治体と組んで受け皿をつくる動きが中心になっているのがわかります。
那須町・白浜町・庄原市・高畠町、それぞれのやり方
- 栃木県那須町:東京と那須を行き来する産業医の方が、2023年に体に優しい軽食や手作りパンのカフェを開きました。最初は週末中心の週3日営業でしたが、いまは週5日。商店が減りつつある町で、周りに住む人の暮らしも支えているそうです。町は伊藤忠テクノソリューションズと「ふるさとアプリ」を開発。町の外に住民票がある人が、飲食店やスーパー、銭湯、ゴルフ場などの協力店で2次元コードを読み取るとポイントがたまります。登録者は3000人近く、2029年度末に1万人を目指しています。
- 和歌山県白浜町:南紀白浜空港を生かし、テレワークができる滞在施設を各所に整えてワーケーション需要を呼び込む。空港の搭乗者数を2029年度に30万人(2024年度の3割増)にする目標です。
- 広島県庄原市:2泊3日から最長1年まで田舎暮らしを体験できる「庄原さとやま留学」。稲刈りや祭りの運営など、人手が足りない場面の「お手伝い」を仲介しています。
- 山形県高畠町:住民票や学籍を移さずに、子どもが一時的に町の小学校に通えるデュアルスクール。首都圏の大学生の農業体験も受け入れています。
栃木県の福田富一知事は、地域の担い手不足は深刻で、まずは二つ目の拠点として暮らしてもらい、最終的に移住につながればいい、という考えを示していました。
「住む人」より「関わる人」を増やす時代
私がいちばん心に残ったのは、明治大学の小田切徳美教授の指摘です。二地域居住はもう特別な暮らし方ではなくなりつつあり、自治体も移住者の奪い合いから、地域との関わりを増やす発想に変わり始めている。ただし、登録者を増やすだけでは足りず、関わり続けられる受け皿がなければ定着しない。そんな趣旨でした。
これ、花屋の商売とまったく同じだと思いました。
お店も、一度来てくださったお客様の「数」を追いかけるだけでは続きません。また来たくなる理由、相談しに来られる関係があって、はじめて常連さんになっていただける。那須のアプリも、ポイントがたまる仕組みそのものより、協力店の一軒一軒が「また来てね」と言える場所になれるかが勝負なのだと思います。ドライブとゴルフが大好物の私としては、ゴルフ場まで協力店に入っているのは正直うらやましい限りです。
そして、地方の担い手不足は花の世界にとっても他人事ではありません。私たちが毎日扱う切り花や鉢物の多くは、地方の生産者さんが育てています。稲刈りの「お手伝い」のように、繁忙期の産地に都市の人が関わる仕組みが広がれば、花を育てる現場もきっと助かる。以前書いた都市農業が人をつなげる話とは逆向きの流れですが、根っこは同じ「土と人をつなぐ」話だと感じています。
二つ目の家には、どんな植物を置けばいい?
ここからは花屋として、実際にお役に立てそうな話を。二地域居住で悩みがちなのが、「留守にする家の植物をどうするか」です。週末しか帰らない家に、毎日の水やりが必要な植物を置くのはおすすめできません。選ぶなら、次のような植物です。
- 乾燥に強い植物を選ぶ。 サンスベリア、ザミオクルカス(ZZプラント)、アガベ、多肉植物など。体の中に水をためられるので、数週間の留守にも比較的強い仲間です。
- 幹や根に水をためる塊根植物も向いている。 ズングリむっくりな幹は、乾いた土地を生き抜くための貯水タンクです。
- 置き場所は「明るい日陰」を基本に。 留守中は窓を閉め切ることが多いので、真夏の直射日光と蒸れは要注意です。
- 着いた日と出る日に水をやる、をルールにする。 「着いたら水、出る前に水」と決めておけば迷いません。冬は水やりの回数をさらに控えめに。
- 切り花は、滞在初日に飾る。 地元の直売所の花を買って、その土地の季節を部屋に入れる。これも二つ目の暮らしならではの楽しみです。
GORI STORE TOKYOは「植物を通して世界を旅する」をテーマにしています。二つの拠点を行き来する暮らしは、ある意味で「旅するように暮らす」こと。乾燥地帯出身のたくましい植物は、そんな暮らしの相棒にぴったりです。二つ目の家に合う一鉢を探している方は、置き場所と滞在のペースを教えてください。一緒に選びます。
よくある質問(FAQ)
Q. 二地域居住とは何ですか?
主な生活の場所とは別に、特定の地域にも住まいを設けて暮らすことです。移住と違って住民票を移さなくてもよく、週末や月に数日だけ滞在する形も含まれます。国は2024年に関連法令を拡充して後押しを始めました。
Q. 二地域居住を推進している自治体はどれくらいありますか?
日本経済新聞の報道によると、官民連携プラットフォームに参加する自治体は2026年8月末時点で813(1広域事務組合を含む)です。都道府県別では栃木県が全26自治体で1位、和歌山県(83.9%)、富山県(81.3%)が続きます。
Q. 自治体はどんな取り組みをしているのですか?
計画を策定した59自治体では、周辺自治体と組む「広域連携」が26件で最多です。ほかに教育・地域参加、住まい・滞在、なりわい・仕事などがあり、那須町のポイントアプリ、白浜町のワーケーション施設、庄原市の田舎暮らし体験、高畠町のデュアルスクールなどが紹介されていました。
Q. 留守が多い家に向いている観葉植物は?
サンスベリア、ザミオクルカス、アガベ、多肉植物、塊根植物など、体や幹に水をためられる乾燥に強い植物が向いています。明るい日陰に置き、到着時と出発前に水やりをするのが基本です。冬は水やりをさらに控えめにしてください。
人口が減っていくなかで、一つの場所に「住む人」を奪い合うのではなく、何度も「関わる人」を増やしていく。地域も、お店も、植物との暮らしも、続けるコツはきっと同じです。一度きりで終わらせず、また会いに行きたくなる関係を一つずつ育てる。私もこの店で、その積み重ねを全力でやり続けます。
今日も、あなたの一日に緑と花がありますように。
GORI