9月の切り花は「強もちあい」──敬老の日と秋の彼岸が重なる月、市場で何が起きるのか

9月の切り花は「強もちあい」──敬老の日と秋の彼岸が重なる月、市場で何が起きるのか

こんにちは、GORIです。

9月のカレンダーを開くと、花屋の目はふたつの日付で止まります。21日の「敬老の日」と、20日から26日までの秋の彼岸。今年はこの二つが同じ週に重なり、19日からの3連休を挟んで、切り花の需要が一気に立ち上がります。花き業界紙が2026年8月26日付でまとめた東京市場の9月見通しも、ひとことで言えば「強もちあい」。物日(ものび=花が動く日)が重なるぶん、切り花全体で引きが強まる一カ月になりそうです。どの花がいつ動くのか、なぜその値段なのか、仕入れの現場から順にお話しします。

なぜ9月は「強もちあい」なのか?

「強もちあい」というのは、相場が下がらず、やや強含みのまま横ばいで推移する、という市場の言葉です。9月がそうなる理由は単純で、花を必要とする日が集中しているからです。

  • 9月9日「重陽(ちょうよう)の節句」 … 菊の節句。ここから菊類の動きが活発になります。
  • 9月19日〜21日の3連休、21日「敬老の日」 … 贈り花のピーク。
  • 9月20日〜26日「秋の彼岸」(23日が秋分の日) … 供花のピーク。

贈る花と供える花の山が、ほぼ地続きで並ぶ。これが9月という月の顔つきです。私たち花屋にとっては、母の日・お盆と並ぶ勝負どころ。ズングリむっくりとした菊の束が、店の奥に積み上がる季節でもあります。

菊はいつ動く?──前進傾向の小菊に注意

9月の主役は、やはり菊です。今年の見通しでは、菊類はいずれも強もちあいで、量そのものは前年並みを維持しています。

  • 輪菊(愛知・静岡・秋田・青森)… 白が1本90〜70円、黄が95〜75円。生育がやや前に進んでいて、入荷のピークは14日ごろ。それ以降は量が減っていく見込みです。
  • スプレイ菊(愛知・静岡・宮城・栃木)… 120〜80円。輸入は減っていますが、国内の量が前年並みを保っています。近年は丸くてかわいらしいピンポンマムが重陽の節句で人気です。
  • 小菊(福島・秋田)… 60〜40円。こちらも前進傾向で、10日ごろに量がまとまります。問題はその後で、16日・18日あたりに不足の懸念が出ています。

ここが今年いちばんお伝えしたいところです。輪菊も小菊も「早く育っている」。早いのは悪いことではありませんが、いちばん花が要る彼岸の直前に、ちょうど良い状態の菊が薄くなる可能性があるということです。お墓参りやお仏壇の花をお考えの方は、16日より前に手当てしておくと安心だと私は思います。

ユリはなぜ手に入りにくいの?

オリエンタル系のユリ(北海道・新潟・千葉・埼玉)は、八重が1本750〜400円、白・ピンクが600〜400円。切り花のなかでは高い部類ですが、それには理由があります。

球根の価格が高騰し、作付面積そのものが減っているのです。結果として、量は昨年比で1〜2割減の見通し。ユリは球根を買うところから始まる花なので、球根が高くなればその年の作付けが減り、翌年の量に響きます。畑の事情が、そのまま店頭の値札に出てくる。花の値段というのは、そういうふうにできています。

香り高い大輪のユリを式やお供えにお使いになる予定があるなら、9月は早めのご相談をおすすめします。

洋花はどんな顔ぶれ?

洋花の入荷量は、例年以上の品目が多いというのが今年の特徴です。ただし品目ごとに事情は違います。

  • カーネーション(北海道・長野)… スタンダード90〜60円、スプレー系85〜60円。国産は平年並みですが輸入が少なく、全体では平年比1〜2割減
  • バラ(山形・愛知・静岡・栃木)… スタンダード・スプレー系ともに200〜80円。夏場の株疲れで生育がやや遅れ、上位等級が少なく下位等級中心の入荷になりそうです。長い茎の立派なバラは、今年の9月は少し貴重になります。
  • 宿根カスミソウ(北海道・福島)… 2Lが300〜200円。作柄は良好で量は平年通り、上位等級中心。彼岸や敬老の日の束加工に使われるため、引き合いが強まります。
  • スターチス(北海道・山形)… シニュアータが120〜80円。彼岸向けには紫の下位等級の出回りが増えます。
  • ガーベラ(静岡・愛知・熊本・千葉)… 小輪が50〜30円。敬老の日に合わせて量がまとまり、荷動きは活発です。
  • トルコギキョウ(秋田・山形・福島・北海道)… 八重が300〜180円でもちあい。8月に生育遅れで少なかったぶんが出てきて、平年より微増。14日ごろに量がまとまります。

敬老の日と彼岸で、選ばれる色が変わる花がある

おもしろいのがリンドウ(秋田・山形・岩手・福島)です。1本100〜65円でもちあい、9月向けの作付けが増えて平年より微増の見通し。そして——敬老の日にはピンク、彼岸には青が人気

同じ花なのに、贈る日によって選ばれる色が変わる。おじいちゃん、おばあちゃんへの「おめでとう」には明るいピンクを、ご先祖さまへの「ありがとう」には凛とした青を。日本人が花に込めてきた気持ちが、色の選び方にそのまま出ているようで、私はこの話が大好物です。

秋の花も控えています。コスモス(北海道・山形・千葉・秋田)は100〜85円で、ピンクや複色が人気。季節商材として期間を通して引きが強い花です。ケイトウ(愛知・秋田・新潟・埼玉)は久留米系が90〜50円で、作付けが増えて平年比微増、生育も順調。9月に咲く品種もあり、秋の花としてしっかり引きがあります。

花屋から、9月をお考えの方へ

まとめると、9月はこういう月です。

  1. 菊は早めに。 輪菊のピークは14日ごろ、小菊は16日・18日に不足懸念。彼岸の花は前倒しで。
  2. ユリは相談を。 球根高騰で昨年比1〜2割減。使いたい日が決まっているなら早めに。
  3. バラは等級で選ぶ。 上位等級が少ない年なので、本数より一本の質で見せる組み方が向いています。
  4. 色に意味を持たせる。 敬老の日はピンク、彼岸は青。リンドウ一本でも気持ちは伝わります。

相場の数字は、産地の天気と、作り手の判断と、私たちの暮らしが重なってできています。今年の9月は、菊が元気に動く月。ぜひ一本、家にも飾ってみてください。

よくある質問(FAQ)

Q. 2026年9月の切り花相場は上がりますか、下がりますか?

東京市場の9月見通しは全体として「強もちあい」です。20日から26日の秋の彼岸と、21日の敬老の日を含む3連休が重なり、切り花全体で引きが強まると見られています。菊類・カーネーション・バラ・ユリ・カスミソウ・スターチス・ガーベラ・ケイトウが強もちあい、トルコギキョウ・リンドウ・コスモスはもちあいの見通しです。

Q. お彼岸の菊はいつ買うのがいいですか?

早めをおすすめします。今年は輪菊・小菊とも生育が前に進んでおり、輪菊の入荷ピークは14日ごろ、以降は量が減る見通しです。小菊は10日ごろに量がまとまる一方、16日・18日には不足の懸念が出ています。

Q. ユリが高いのはなぜですか?

球根価格の高騰で作付面積が減っているためです。オリエンタル系ユリの量は昨年比1〜2割減の見通しで、八重で1本750〜400円、白・ピンクで600〜400円という水準です。

Q. 敬老の日にはどんな花が向いていますか?

ガーベラは敬老の日に合わせて量がまとまり、荷動きが活発です。リンドウは敬老の日にはピンクが人気(彼岸には青)。カスミソウやスターチスは束加工に使われ、贈り花を明るくまとめてくれます。

Q. この相場情報の出典はどこですか?

花き業界紙が2026年8月26日付でまとめた東京市場の9月見通し(品目別の市況・価格・備考)です。数字は同紙の掲載値をもとに、GORIが花屋の視点で解説しています。

菊の香りが立ちはじめると、ああ秋が来たな、と思います。今日も、あなたの一日に緑と花がありますように。

GORI

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