お盆の菊が足りない?──今年の切り花が高いワケと、それでも花を飾ってほしい理由

こんにちは、GORIです。

今日はお盆にちなんで、私たち花を扱う人間がいま肌で感じている「切り花の値段」の話をさせてください。結論から言うと、今年のお盆は菊・カーネーション・ユリといった定番の花が全体的に不足ぎみで、相場が平年を上回っています。切り花全体の卸値は、8月上旬の時点で平年より2割ほど高い水準。これは仕入れの現場にいると、ズングリむっくりとした菊の束を手に取るたびに実感します。なぜ足りないのか、どのくらい高いのか、そして高くても私が「それでも花を飾ってほしい」と思う理由を、まっすぐお伝えします。

そもそも、なぜお盆に花が足りなくなるの?

お盆(今年は8月13日〜16日)は、一年のなかでも花の需要がぐっと集まる時期です。ご先祖さまを迎えるための供花、お墓参りの花——日本中で一斉に花が必要になります。需要の山がはっきりあるというのが、お盆という季節の特徴です。

ところが今年は、その需要の山と、花の育つタイミングが少しずれてしまいました。主力の菊は、梅雨のあいだに気温がぐっと上がらなかったことで、生育が例年より前に進んでしまったのです。早く咲くこと自体は悪いことではありません。ですが、いちばん花が欲しいお盆本番を前に「もう咲き終わりに近づいている」株が増えると、肝心のときに品薄になる。需要はピークなのに、供給が少し先に抜けてしまった——これが今年の菊の不足感の正体です。

カーネーションも事情は近く、主な輸入元であるマレーシアで生育が遅れ、国産も伸び悩んで、全体量が少なめに推移しています。作り手の高齢化や人件費の高騰で作付面積そのものが減っている品目もあり、「そもそも作る量が減っている」という根っこの事情も、じわりと効いてきています。

今年の相場は、具体的にどのくらい高いの?

日本農業新聞(2026年8月)が各地の大手卸のデータをまとめたところによると、8月上旬の切り花全体の平均価格は、平年比でおよそ2割高。品目ごとに数字を並べると、こういう顔ぶれです。

  • 輪菊:1本およそ67円。お盆の主役でありながら、前述の生育前進で不足が心配されています。
  • カーネーション:1本およそ78円。輸入・国産ともに量が少なめで、高い水準を保っています。
  • スプレイ菊・小菊:1本およそ52円で、数%〜1割ほど高め。
  • オリエンタルユリ(スタンダード):1本およそ71円。作付けが減り、人件費も上がって、さらに値を上げています。

1本あたり数十円と聞くとささやかに感じるかもしれません。ですが、供花は何本もの菊を束ねてつくるもの。1本の差が10本、20本と積み重なれば、仕上がりの花束や花代にしっかり効いてきます。花屋の店頭で「去年より少し高いな」と感じられたとしたら、それは気のせいではなく、こうした産地の事情がそのまま値段に表れているからなのです。青紫が美しいリンドウも今年は好調で、仏花の主役として存在感を増しています(この話は、また別の日にじっくりさせてください)。

高くても、私が「花を飾ってほしい」と思う理由

正直に申し上げると、花が高い年は、花屋にとってもお客さまにとっても悩ましいものです。それでも私は、こういう年こそ花を飾ってほしいと思っています。

値段が上がっているということは、それだけ作り手が天候や人手と真剣に向き合い、手をかけて届けてくれているということ。一本の菊、一輪のユリの向こうには、産地でひたむきに花を育てている人たちがいます。その一本を、ご先祖さまへ、あるいは日々の暮らしのなかへ手向ける——それは決して無駄なぜいたくではなく、季節と命に手を合わせる、日本の美しい営みだと私は思うのです。

もし今年、いつもより本数を控えるとしても、心配はいりません。大切なのは本数ではなく、飾る気持ちです。花を長く楽しむコツを、花屋から少しだけお伝えします。

  • 切り戻し:水の中で茎の先を斜めに切り直すと、水の吸い上げがよみがえります。
  • 水替え:夏場は水が傷みやすいので、毎日新しい水に替え、花瓶の内側もぬめりを取ってあげてください。
  • 置き場所:直射日光とエアコンの風を避け、涼しい場所に。菊もユリもこの時期はぐっと長持ちします。

一輪でも二輪でも、丁寧に手をかければ花はしっかり応えてくれます。GORI STORE TOKYO(東京・平河町)でも、この夏の花たちを大切にご用意して、お待ちしています。

よくある質問(FAQ)

Q. 今年のお盆はなぜ花が高いのですか?
お盆に需要が集中する一方で、菊は梅雨に気温が上がらず生育が前に進み、本番前に品薄ぎみになりました。カーネーションも輸入元のマレーシアや国産の生育が遅れて量が少なめです。日本農業新聞(2026年8月)によると、8月上旬の切り花全体の平均価格は平年比でおよそ2割高となっています。

Q. どの花が特に高くなっていますか?
輪菊(1本およそ67円)、カーネーション(およそ78円)、オリエンタルユリのスタンダード(およそ71円)、スプレイ菊・小菊(およそ52円)が高めです。仏花に人気のリンドウも今年は好調な相場となっています。

Q. なぜ菊は「早く育った」のに足りなくなるのですか?
花には、いちばん美しく咲く「食べごろ」ならぬ「飾りごろ」の時期があります。生育が前に進むと、お盆本番のときには咲き終わりに近づいた株が増え、ちょうど良い状態の菊が少なくなります。需要のピークと生育のタイミングがずれることで、不足感が生まれるのです。

Q. 花を長持ちさせるにはどうすればいいですか?
水の中で茎の先を斜めに切り直す「切り戻し」、毎日の水替え、直射日光とエアコンの風を避けた涼しい場所への設置、この三つが基本です。本数が少なくても、丁寧に手をかければ花は長く応えてくれます。

高い年こそ、一本の花のありがたみが身にしみます。今日も、あなたの一日に緑と花がありますように。

GORI

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