こんにちは、GORIです。
六本木けやき坂、歩いたことがありますか?
あのケヤキ並木、実は一人の78歳の男性が選んだ木です。
「この木ですよ」の一言で、名所が生まれた
森ビル技術顧問の山口博喜さん(78)。景観設計のプロフェッショナルであり、樹木医の資格も持つ。六本木ヒルズ、麻布台ヒルズ、虎ノ門ヒルズ名前にヒルズがつく再開発のほとんどで緑地整備を手がけてきた人物です。
六本木ヒルズの計画時、山口さんが森稔社長(当時)に提案したのはケヤキでした。「東京の植生に合うケヤキは大きく育ち、名所になる」と確信していた。
近くに立つケヤキの大木まで社長を連れて行き、「この木ですよ」と話した。
その一言が、今の「六本木けやき坂通り」を生みました。ソメイヨシノが好きだった森さんのリクエストで「六本木さくら坂」も生まれた。
植物を選ぶことは、未来の景色をデザインすることだと、あらためて思いました。
「管理しやすさ」より「本来の植生」を選ぶ
私が一番刺さったのはここです。
麻布台ヒルズ(高さ330メートル、現在日本最高層)の緑地整備で、山口さんは1000本の木を選びました。ビルの植栽は一般的に管理しやすい常緑樹が選ばれます。落ち葉が出ない、手間がかからない、そういう理由で。
でも山口さんはクヌギ、コナラ、ケヤキなど落葉樹を選んだ。
理由は「武蔵野台地の植生を再現する」ため。その土地が本来持っていた植生を取り戻す。隣接するアークヒルズの植栽との連続性も重視する。
結果、オオタカを頂点とする生態系ネットワークが復活し、副次的にカラスも集まりにくくなったといいます。
「ヒルズはいまや生態系ネットワークの拠点になっている」
この言葉、植物屋として本当に痺れました。
植物を置くことは、生態系をデザインすること
東京の木陰が消えているという話を先日書きました。街路樹が50万本減っている、という話も。
その一方で、山口さんのような人が都心に「緑の骨格」を作り続けている。六本木から麻布台、虎ノ門まで緑がつながる。そのビジョンを78歳で描いている。
植物を1本選ぶことが、20年後の生態系を変える。
花屋として植物を扱いながら、その重さをあらためて感じました。お客様に渡す一鉢が、その方の暮らしの生態系を少し変えるかもしれない。そういう仕事をしているんだと。
「1人の自分に戻れる深い森をつくりたい」
山口さんの言葉を胸に、私も今日の仕事をします。
GORI