森が焼けたあと、動物たちはどうなるのか──2026年夏、ヨーロッパの森林火災

森が焼けたあと、動物たちはどうなるのか──2026年夏、ヨーロッパの森林火災

こんにちは、GORIです。

2026年の夏、ヨーロッパ全土で森林火災が猛威を振るいました。特に被害が大きかったのがフランスとスペインです。報道によると、フランスだけで20万人を超える人々が避難を余儀なくされ、消防士4人が命を落としました。スペインでは火災による死者が少なくとも14人。これが人間にとって危機的な状況であることは、言うまでもありません。

そして、炎の恐怖にさらされたのは人間だけではありませんでした。野生動物の災害対応を専門とするコンサルティング会社「プラニマリア」の創設者は、逃げ切れずに命を落とした動物は数百万匹にのぼると推定されると述べています。「生態系にとって大惨事です」と。植物と共に生きることを掲げる花屋として、今日はこの話をきちんと書いておきたいと思います。

なぜ火災はここまで大きくなったのか?──気候変動という「たき付け」

フランスとスペインの森林火災では、人為的な気候変動が発生や拡大を強める大きな要因になったと指摘されています。仕組みはこうです。

気温が上がると、土壌や植物から水分が失われやすくなります。暖かい空気ほど多くの水分を保持できるため、大気が地面からも植物からも水分を吸い上げるようになる──ドイツ・ポツダム気候影響研究所の気候科学者はそう説明しています。その結果、植物はカラカラに乾き、火種が飛んでくればすぐに燃え上がる「たき付け」のような状態になっていたのです。

私たち花屋は、植物の水分を毎日見ながら商売をしています。水が抜けた枝葉がどれほど燃えやすいかは、ドライフラワーを扱えば誰でも分かる。大陸規模でそれが起きたのだと考えると、背筋が冷たくなります。

4万2000ヘクタールの焼け野原──「まるでポンペイのようです」

フランス・ボルドー近郊では、4万2000ヘクタールが焼け野原になりました。東京23区の面積の約3分の2に相当する広さの森が、灰になった計算です。フランス国立自然史博物館の博物学者は、現地の様子をこう表現しています。「まるでポンペイのようです。あたり一面が灰の砂漠になっています」

生き延びた動物たちにも、厳しい現実が待っています。

  • 隠れ場所がない。低木も木々の葉も焼けたため、トガリネズミやハリネズミ、トカゲなどの小動物は捕食者に狙われやすくなります。
  • 食べ物がない。餌にしていた昆虫が火災で一掃された場所では、探しても何も見つかりません。
  • 街に出るしかない。食べ物を求めて市街地に入り込んだ動物たちは、車との衝突事故に遭います。森林火災のあとには事故が急増すると専門家は言います。方向感覚を失った動物たちは、どこへ行けばいいのか分からないのです。
  • 水と土が汚れている。灰と消火剤による汚染で、繁殖障害など生涯にわたる健康被害が出る可能性も危惧されています。

いちばん逃げられないのは、誰か?──「地域の宝」のカエル

シカは走って逃げられます。羽毛の生え揃った鳥は飛べます。しかし、爬虫類や両生類はそうはいきません

特に打撃が大きかったとみられるのが、イベリアニンニクガエル(Pelobates cultripes)です。国際自然保護連合(IUCN)が「危急種(Vulnerable)」に指定する、動きの遅い夜行性のカエル。フランス南部・西部、スペイン、ポルトガルの森や湿地に生息し、その希少さから「どこでも地域の宝とみなされている」存在です。

このカエルは火災の前から、都市開発や農地拡大による生息地の破壊、外来種のアメリカザリガニ、交通事故に追い詰められ、過去21年間で少なくとも30%減ったと考えられています。そこに今回の壊滅的な火災。もともと数が少ないだけに、わずかな損失も深刻な打撃になります。

それでも、希望はある

暗い話ばかりではありません。

イベリアニンニクガエルは地面の巣穴で生活します。深いものは地中1メートル近くに達し、地上の極端な暑さ寒さから身を守ってくれる。乾いた植物が少なかった場所では火は地表を素早く通り過ぎたはずで、巣穴に隠れて生き延びた個体がいるかもしれないのです。実際、焼け跡でヨーロッパアカガエルが生きて発見された例も報告されています。同じ地域のカエルが生き延びたのなら、望みはあります。

そして、専門家のこの言葉が、私の胸に刺さりました。

「植物は次に雨が降れば戻ってくるでしょう。自然には非常に強い回復力があります。しかし、動物の場合は回復に長い時間がかかります」

植物の回復力は、私たちが毎日目の前で見ている通りです。切り戻した枝から新芽が吹き、焼け跡にも真っ先に緑が戻る。しかし、その緑を住処にする動物たちの数が戻るには、何世代もの時間が要る。森とは木の集まりではなく、木と、そこに住むものたち全部なのだと、あらためて突きつけられます。

花屋にできることは何か

遠いヨーロッパの話に聞こえるかもしれません。しかし、乾燥と高温で植物が「たき付け」になる構図は、日本の里山も無縁ではありません。私たちにできることは小さい。それでも、植物を扱う商売人として、①緑を植え、育て、長く生かすこと、②気候変動の話題から目をそらさないこと、③こうして一本ずつ記事に残すこと。この3つは続けていきます。

「植物と共に生きる」は、植物だけの話ではありませんでした。植物と共に生きる動物たちと、そのすべてと共に生きるということ。この夏のヨーロッパから、私はそう学びました。

よくある質問(FAQ)

Q. 2026年夏のヨーロッパ森林火災の被害はどれくらいですか?
フランスでは20万人を超える人々が避難し、消防士4人が死亡。スペインでは少なくとも14人が亡くなりました。フランス・ボルドー近郊では4万2000ヘクタールが焼失し、野生動物は数百万匹が命を落としたと推定されています。

Q. 森林火災と気候変動には関係がありますか?
フランスとスペインの火災では、人為的な気候変動が発生・拡大を強める大きな要因と指摘されています。気温上昇で大気が土壌や植物から水分を吸い上げ、乾き切った植物が「たき付け」のような状態になるためです。

Q. 森林火災で特に被害を受けやすい動物は何ですか?
走って逃げられるシカや飛べる鳥と違い、動きの遅い爬虫類・両生類が特に深刻です。IUCNが危急種に指定するイベリアニンニクガエルは、過去21年間で少なくとも30%減少していたところに今回の火災が重なり、さらなる激減が懸念されています。

Q. 焼けた森は元に戻りますか?
植物は雨が降れば回復が始まり、自然には強い回復力があります。ただし動物の個体数の回復には長い時間がかかると専門家は指摘しています。生き延びた動物も、隠れ場所や餌の喪失、水や土壌の汚染という課題に直面します。

GORI

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