こんにちは、GORIです。
犬と歩く毎日は、やっぱり体と頭にいいらしい。国立環境研究所、東京都健康長寿医療センター、東京大学などの研究チームが、2016年から7年半にわたって高齢者1万1000人あまりを調べたところ、犬を飼っている高齢者は、飼ったことのない人に比べて、認知症で介護を受けるリスクが48%低かった。日本経済新聞の記事で読みました。私は小さい頃から犬と暮らすことが夢で、今も犬の散歩が大好物の人間です。この数字を見て、思わず「そうだよな」と声が出ました。
研究では、何が分かったのか?
記事で報じられている内容を整理します。研究結果は2026年7月に学術誌で発表されたものです。
- 調べたのは高齢者1万1000人あまり、期間は2016年から7年半。
- 犬を飼っている高齢者は、認知症で介護を受けるリスクが48%低かった(飼ったことのない人と比べて)。
- 研究チームは、散歩を通じた体の活動と、人との交流が効いたとみています。
- 過去に犬を飼っていた人もリスクは低めでした。ただし統計的に意味のある差ではありませんでした。犬を飼っていた頃にできた人とのつながりが残っているのかもしれない、とされています。
- 所得、体の機能、社会的な孤立の度合いなど、認知症に影響しうる条件はそろえて比べています。条件が同じでも、犬と暮らした方がリスクが低いという結論です。
記事の図表では、犬を飼っていない人を1としたとき、今飼っている人はおよそ0.5、過去に飼っていた人はおよそ0.75でした(「オッズ比」という指標で、1より小さいほど介護を受ける確率が低いという意味です)。
6000億円近くというのは、どういう数字か?
研究チームは、お金の面も試算しています。
- 今回調べた高齢者のうち、犬を飼っていた人は8.6%。
- 一般社団法人ペットフード協会の調査をもとに、飼いたいと思っている高齢者が全員飼えば、飼育率は13.4%になると試算。
- その場合、高齢者が犬をまったく飼わなかった場合と比べて、医療や介護の公的支出が4年間で5920億円減る。
- さらに、ペットフードや保険、シッターといった商品・サービスの需要が増え、社会全体の支出は今より4年間で4.6兆円増える。
医療と介護のお金が減り、町のお金は回る。犬一匹の散歩が、ここまで大きな話につながるとは思っていませんでした。
なぜ散歩が効くのか。花屋の実感
ここからは、私の受け止めです。
犬の散歩は、雨でも休めない。 暑い日も寒い日も、犬は待ってくれません。「今日は気が乗らない」が通用しない。この「休めない」が、実は一番の効き目なんだと思います。自分のためだけなら三日坊主になる運動も、犬のためなら毎日続く。
散歩は、人と話すきっかけになる。 犬を連れて歩いていると、知らない人から「何歳ですか」「大きいですね」と声をかけられます。犬がいなければ、一生話さなかったかもしれない人たちです。研究チームが「社会的な交流」を理由に挙げているのは、まさにこれでしょう。
そして、散歩は季節を見る時間です。 花屋の目で歩くと、散歩道は植物の図鑑です。春の沈丁花の香り、夏の百日紅、秋の金木犀、冬の山茶花。毎日同じ道を歩くから、昨日との違いに気づく。「あ、咲いた」と思うたびに、頭が少し動く。これも、散歩のご褒美だと思っています。
以前の日記にも書きましたが、犬は「動」の癒し、植物は「静」の癒しです。性質は違っても、どちらも人にエネルギーをくれる。今回の研究は、その「動」の方に、はっきりした数字を付けてくれました。
犬と暮らすなら、知っておいてほしい植物の話
花屋として、ここは必ず書いておきます。植物の中には、犬がかじると体に悪いものがあります。
- 米国の動物愛護団体ASPCAは、ソテツ、ポトス、モンステラ、アロエなどを、犬にとって有毒な植物として挙げています。中でもソテツは、少し口にしただけでも危ないとされています。
- 観葉植物を置くなら、犬の口が届かない高さに置く。落ちた葉はすぐ拾う。
- 子犬や、何でもかじる癖のある子がいる家では、植物を選ぶ段階から気をつける。
「犬も植物も両方ほしい」は、全然わがままではありません。置き方と選び方を知っていれば、ちゃんと両立できます。店頭で「犬がいるんです」と一言いただければ、置き場所まで一緒に考えます。もし犬が植物をかじってしまったら、植物の名前を控えて、すぐに動物病院に相談してください。
「飼いたいのに飼えない」をどうするか
記事の最後に、国立環境研究所の谷口優主任研究員の話がありました。入院や施設に入ることを心配して、犬をあきらめる高齢者がいる。だから預け先を確保するなど、飼い主と犬の両方を支える仕組みが大事だ、と。
私はここが、この研究でいちばん大事なところだと思います。犬は健康のための道具ではありません。十数年、毎日ごはんを食べ、散歩をせがみ、年をとる命です。「体にいいから飼う」だけで始めると、犬も人も苦しくなる。最後まで一緒にいられる仕組みがあって、はじめて「犬と長生き」が成り立つ。
私にはずっと、犬と植物が共存できる場所をつくりたいという夢があります。犬を連れて立ち寄れて、植物に囲まれた、町の「第三の居場所」です。散歩の途中にちょっと寄って、店の人やほかの飼い主さんと話して、季節の花を一本買って帰る。今回の研究を読んで、その夢はお客様の健康にもつながるかもしれないと、背中を押された気がしています。
よくある質問(FAQ)
Q. 犬を飼うと認知症のリスクは下がるのですか?
国立環境研究所、東京都健康長寿医療センター、東京大学などが高齢者1万1000人あまりを2016年から7年半調べた研究では、犬を飼っている高齢者は、飼ったことのない人に比べて、認知症で介護を受けるリスクが48%低かったと報じられています。所得や体の機能、社会的孤立などの条件はそろえて比べています。
Q. なぜ犬を飼うとリスクが低くなるのですか?
研究チームは、散歩による体の活動と、散歩で生まれる人との交流が影響したとみています。
Q. 昔、犬を飼っていた人はどうですか?
飼ったことのない人よりリスクは低めでしたが、統計的に意味のある差はありませんでした。犬を飼っていた頃に築いた人とのつながりが影響している可能性がある、とされています。
Q. 公的支出が6000億円近く減るとは、どういう意味ですか?
今回の高齢者の犬の飼育率は8.6%でした。飼いたい高齢者が全員飼えば13.4%になると試算し、その場合、まったく飼わなかった場合と比べて、医療や介護の公的支出が4年間で5920億円減ると計算しています。
Q. 犬がいる家で、気をつける植物はありますか?
米国の動物愛護団体ASPCAは、ソテツ、ポトス、モンステラ、アロエなどを犬に有毒な植物として挙げています。犬の口が届かない場所に置き、かじってしまったときは植物の名前を控えて動物病院に相談してください。
犬と歩き、道端の花に気づき、すれ違う人とあいさつをする。特別なことは何もしていないのに、それが体と頭を守っているらしい。続けられることが、いちばん強い。犬の散歩も、植物の世話も、商売も、同じだと思います。
今日も、あなたの一日に緑と花がありますように。
GORI